大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和44(あ)1609 決定

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人木梨芳繁の上告趣意中、判例違反をいう点は、所論引用の判例は、原判決

の言渡後になされたものであるから、これをもつて刑訴法四〇五条二号の判例と解

することはできず、その余は、事実誤認、単なる法令違反の主張であつて、いずれ

も適法な上告理由にあたらない。

職権によつて調査すると、たとい刑法二三〇条の二第一項にいう事実が真実であ

ることの証明がない場合でも、行為者がその事実を真実であると誤信し、その誤信

したことについて、確実な資料、根拠に照らし相当の理由があるときは、犯罪の故

意がなく、名誉毀損の罪は成立しないものと解すべきである(昭和四一年(あ)第

二四七二号同四四年六月二五日大法廷判決、刑集二三巻七号九七五頁参照。)とこ

ろ、原判決は、第一審判決判示第一ないし第三の各文書掲載の摘示事実中公共の利

害に関する事実に係ると認められる部分の真実性について、被告人がこれを信じて

いたこと、かつ、そのように信ずる相当の理由があることが認められる客観的状況

にあつた旨の控訴趣意に対し、刑法二三〇条の二に規定する真実性については、所

論の事実はその処罰阻却の事由とはならないと判断しているのであるから、原判決

の右判断は、法令の解釈を誤つたものといわざるをえない。

しかし、原判決は、第一審裁判所で取り調べた全証拠に徴しても、被告人の本件

各所為がいずれももつぱら公益を図る目的に出たものとは認められない旨判断して

いるのであつて、右判断は正当と認められるから、原判決が被告人の本件各行為に

つき刑法二三〇条一項を適用処断した第一審判決を維持したことは、結局、正当で

あり、原判決の右法令違反は、判決に影響を及ぼすものではない。

また、記録を調べても、刑訴法四一一条を適用すべきものとは認められない。

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よつて、同法四一四条、三八六条一項三号により、裁判官全員一致の意見で、主

文のとおり決定する。

昭和四五年一二月二二日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 田 中 二 郎

裁判官 下 村 三 郎

裁判官 松 本 正 雄

裁判官 飯 村 義 美

裁判官 関 根 小 郷

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